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【2022年度】パルシステム千葉コミュニティ活動助成基金 交付団体 vol.11日本言語教育情報センターの活動を紹介します!

【事業名】日本語教育・日本語学習に関わる情報の収集と発信事業

▼こうして助成金を活用しました!

インターネットを介した情報発信(Webサイトの構築、Zoomアカウントの取得)と会員登録システム(希望者自身で登録可能かつ加入者やコンテンツの管理用)導入に使用しました。

パルシステム千葉コミュニティ活動助成基金
地域の諸課題に市民事業・活動として取り組む団体を資金や広報の面で支援するために、パルシステム千葉が2001年度から設置しています。

 

オンライン講座(テスト画面)

国籍を問わず安心して生活できる地域社会へ

日本語で困っている人、文化的なことや習慣・常識の違いが原因でコミュニケーションがうまくいかず悩んでいる人、“いわゆる外国人”も日本社会の一員として働き、税金を払って生活をしています。そうした方々に日本語や日本について学習するツールを提供することで、国籍を問わず、日本の地域社会に昔からいる人も新しく入ってきた人も、安心して生活できる環境整備の一助となればと思い、この活動を立ち上げました。

日本語教育の現場では

海外から日本に移動してきた人々がその地域に根ざした生活を送るには、近隣の人とのコミュニケーションが不可欠です。日本であれば「日本語教育」がその一翼を担っており、グローバル化が進んだ昨今では、職業として日本語を教えている教師だけでなく、ボランティアの方々の力によって大きく支えられています。

日本語教育を必要とする方々の国籍にも、ここ10年で大きく変化しています。大半を占めていた中国や韓国に替わって、ベトナムなど漢字を使用しない国の方々がたくさん来日するようになり、従来の教育法が使用できず戸惑うケースも増えてきました。

日本語学習者の多くは、「何か」別の目的を達成するために日本語を習得しようとしています。そのため、教える側もただ語学としての日本語を教えるというより、教師自身の知識や経験をもとに「教科書以外のさまざまな素材」を有効的に活用できる能力がますます求められます。そうした状況の中で法改正があり、留学生に教える場合には「登録日本語教員」という国家資格が必要となる新制度が、数年以内に設けられることになりました。詳細はこれから審議されるとのことで、この新制度に関する情報を収集し的確に理解するうえでもサポートが必要となっています。

 

日本語教育のリソースが行きかう中核センターをめざして

当法人は、新制度に関する情報はもちろん、教材や人材、コミュニケーション・ツールなど、言語の学習・教育に役立つだろうと思われるあらゆるリソースが集積する「日本語教育の広場」をめざしています。「教える側」への支援を中心にしながら「学ぶ側」も対象とし、だれでも自由に必要な情報にアクセスできることが理想です。

法人を立ち上げてまず取り組んでいるのが、教育活動のツールの紹介や、日本語教育に関するネットワーク構築の促進です。2022年度は拠点である千葉県浦安市から、オンラインでの活動になりました。「Google Classroom」「Zoom」「Microsoft Teams」の使い方の講習会を実施し、教材作成ツールとして使用できる「HTMLスクリプト」なども紹介しました。

9月半ばからは月に2回のペースで、おもに日本語教育や地域で暮らす外国人に関する話題を取り上げるライブ配信を行っています。2023年3月には、オンラインや教室で教材を使用するにあたり必要となる「著作権」に関する勉強会を開催しました。講習の参加者からは「普段は教える側だが、オンラインで受講する側になっていろいろな気づきがあった」という声をいただいたり、海外からも受講できたりと、オンラインならではの可能性の広がりを実感しました。

教材作成ツール(イメージ)

今後は、コロナ禍では実現が難しかった対面式で、千葉県内のボランティア教室、日本語学校と連携した講座を5月以降に予定しています。

 

多様なニーズにいかに対応していくか

活動を始めて改めて痛感するのは、日本語教育を行う人(以下、教育側)の多様さです。職業として日本語教育を行う方々から無償ボランティアとして活動している人まで経験や知識の開きが大きく、これらすべてをどのようにカバーするのかが問題です。

日本語を学ぶ側の方々も出身国が多様化し、年齢も学童期から成人までと幅広く、学習する目的も生活のため、進学のため、就職のため、職業遂行のためとさまざまです。これらの人々をカバーできるだけの情報の提供、理解促進のための対応が必要になります。

また、オンラインでの受講が増加していることから、従来の対面式の授業で使用していた教材では対応できなくなっています。「日本の日常生活」を切り取った画像がフリー素材であるかの確認をしっかりしないと著作権が発生し、費用負担が必要となるケースが頻発しています。そのため、著作権に対する知識が不可欠になるのと同時に、教育活動における素材活用と著作権の取り扱いについて国に働きかける必要もあると考えています。

オンラインならではの可能性と、留意点も

国際性豊かな人づくり・社会づくり

教育側の活動がつかみやすいこともあり、当面は千葉県内の国際交流協会主催等の日本語教室に対する支援から着手しています。今後は教育側についても対象を広げ、学童期などの「年少者に対する教育」、千葉県で仕事をする方に向けた「職務遂行のための教育」にも寄与できる活動をしたいと考えています。

そして2023年は教育側に対する支援を中心に、職業として日本語を教えている人とボランティアで日本語を教えている人の支援に力を注ぎます。将来的にはこれを「学習者に対する支援活動」へと広げていく予定です。

法人の立ち上げ期に助成していただいたことで、Webサイトの構築や会員登録システムの導入など、基本的なインフラ整備の歩みを進めることができました。さらに内容を充実させながら、日本人,外国人すべての市民が安心して暮らし,学び,働くことができる社会の実現に向けて,国際性豊かな人づくり・社会づくりに寄与していきたいと思います。

 

お問い合わせ先

NPO法人 日本言語教育情報センター

所在地:千葉県浦安市

メール yoshi131@nifty.com

ホームページ:https://owlj.org/